ガンマナイフ治療の仕組み

 192本のガンマ線を、1点に集中させます。 その焦点が正確に病変中心に来るようにして照射を行います。 病変部にガンマ線が集中することにより、病変細胞の遺伝子に変化を起こします。 遺伝子に変化が起こった細胞はやがて消滅します。病変消失までの時間は、その細胞の種類により差があります。 ガンマナイフでは、病変に対して熱を加え焼いているのではありません。 もちろん、治療中も熱く感じることはありません。
 照射に使用する個々のガンマ線は弱い放射線であるため、正常脳の被ばく量は少なくなります。 そのため、頭部の脱毛や、放射線白質変性による認知症を誘発することはまずありません。 多発転移性脳腫瘍などの複数病変に一度に照射しても、脳全体への被ばく量は非常に低く抑えられます。 多発病変への照射では、他の定位的放射線治療機器と比べても正常脳の被ばく量が低いことが、ガンマナイフの特徴です。

 

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ガンマナイフ治療の対象疾患と効果

 ガンマナイフの対象疾患は、頭部病変のみです。 構造上、体幹の胸部・腹部・脊髄病変には、照射できません。 頭部の脳腫瘍脳動静脈奇形特発性三叉神経痛などが対象で、 脳梗塞・脳出血・認知症には効果がありません。
 ガンマナイフの治療効果は、病変の種類によって異なります。 悪性脳腫瘍の場合には、照射後1-3ヶ月で縮小・消失することが多いです。 ただし、後で新規病変が出現することがありますが、再度ガンマナイフを行うことも可能です。 当院でも、9回のガンマナイフ治療を受けた方もおられます。 一方、良性脳腫瘍では、照射後に増大停止・縮小します。 消失することは稀で、増大抑制効果が主となります。 脳動静脈奇形では、1-3年で消失してきます。 特発性三叉神経痛では、数日から数ヶ月で痛みの軽減・消失が期待できます。 当院でも、激痛のため食事がほとんどできなかったのに ガンマナイフ治療翌日にはしっかり噛んで食べられるようになった方もおられます。

ガンマナイフ パーフェクションについて

 この度、高島病院ではガンマナイフ治療機器が「パーフェクション」にアップグレードされました。 特に3つの点が改良されました。

  1. 照射が自動化されたことにより、治療時間が大幅に短縮されます。特に多発病変では、その効果がより大きくなります。
  2. 照射時の頚部前屈が不要になりました。以前は病変の位置によって頚部前屈や後屈しないと照射できないことがあり窮屈でしたが、これからは真っ直ぐで楽に寝たまま治療ができます。
  3. 頭部の端にある病変も治療できます。以前は、頭囲が大きい方だと両端にある病変は照射不可能か、フレームを付け直す必要がありましたが、今後は付け直し不要です。

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右側がパーフェクション・・・空間に余裕があります

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ガンマナイフ治療の日程

1. ご紹介

まず、かかりつけの先生より診療情報を提供していただきます。 例えば脳腫瘍の場合、症状やこれまでに施行された画像データ(造影MRI、CTなど、直近のものだけでなく過去の画像も重要です)、 手術・化学療法や分子標的薬の治療歴、ドライバー遺伝子の有無、ガンマナイフ後の治療予定などです。 これらの情報は、ガンマナイフの適応を決めるだけでなく、治療内容の設定などにも関わってきます。 有効率や副作用にも影響しますので、詳細な情報提供をしていただいています。

2. ガンマナイフ前の診察

可能であれば、入院前に一度外来受診していただきます。 安心して治療を受けていただくように、ガンマナイフ治療について詳細に説明します。 治療にご同意いただければ、日程を決めます。 ご本人の来院が困難な場合には、家族の方の代診でも構いません。
外来受診が困難な場合には、入院時に家族の方も含めて説明いたします。

3. 二泊三日の入院治療

<1日目>  午前11時頃までに入院していただきます。朝の絶食は不要です。 内服中の薬は入院中も継続しますので、忘れないように持参してください。 血液検査などの簡単な入院時検査を受けていただいた後は、ゆっくりお過ごしください。 入院部屋は、バス・トイレ・ソファーベッド付きの個室です。 新型コロナなどの感染症が落ち着いていれば、以前のように付き添いの方も宿泊できます。 かかりつけ医に入院中で、お体の不自由な方は、当院救急車で送迎いたします。 専用運転手と看護師も付き添いしますので、安心です。

<2日目>  照射をします。多発病変でもこの日に全て行います。 午前8時半より、局所麻酔下に頭部にフレーム(固定枠)を取り付けます。 局所麻酔の注射からフレーム固定終了までの約15分は多少の痛みがありますが、すぐに治ってきます。 病変に応じて、MRI、CT、脳血管撮影を行います。 午前10時頃までには検査が終了しますので一旦病室で休んでいただきます。 テレビを見たりしてくつろいでください。 その間に治療計画を作成します。そして、計画に基づいて照射を行います。 病変が小さくて数個程度であれば、午前中に照射が終了できます。 照射中は痛くも熱くもありませんし、手足を動かしたりしても咳が出ても眠っていても、全く問題ありません。 照射終了後にフレームを外します。

<3日目>  朝の点滴終了後に退院できます。
かかりつけの先生への報告書を渡します。
今まで同様の日常生活をしてください。

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特徴

従来の脳神経外科手術に比べ多大な恩恵をもたらします。

二泊三日の入院で、日常生活復帰

合併症からの回避

脳外科手術で問題となる感染症や麻酔などの合併・続発症の危険性がほとんどありません。 通常の手術では危険を伴う方、余病のある方、年齢的に不安な方も安心して治療いただ けます。

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《入院は原則的に3日間です》

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●病気の種類や大きさによっては、1、2日治療期間が延びることがあります。

入院期間の短縮

ガンマナイフ治療による平均入院期間は3日間です。 術創の消毒やリハビリ等の必要もなく、退院後すぐに通常の生活に戻ることが可能です。

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深部の病巣にも対応

脳外科手術では到達が困難な深い場所の腫瘍や後遺症が心配される場所の治療も 出来るようになりました。

医療費負担減

治療には健康保険が適用され、さらに脳外科手術で必要な術後の回復期の入院が不要なため、 多くの経費を節減することが出来ます。

高島病院でのガンマナイフ治療

高島病院でのガンマナイフ治療

 2000年(平成12年)7月にガンマナイフが導入され、 2021年4月までに3394例の治療を行なっております。 脳腫瘍、脳動静脈奇形、特発性三叉神経痛などが対象疾患です。 病気自体の頻度から、脳腫瘍が最も多くなっています。

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日本・世界でのガンマナイフ治療状況

2019年までに、日本では27万2千人、世界では131万人がガンマナイフ治療を受けられました。

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高島病院での治療症例

1. 多発転移性脳腫瘍

17個の病変があり1日で全てガンマナイフ照射しました。 なお、ここに掲載した写真では一部の腫瘍しか写っていません。

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1年後でも造影される病変がありますが、 放射線治療痕であり腫瘍が残存しているのではありません。 このような経過を示す場合もかなりありますので、 消えていないからと心配せずにじっくりと経過をみましょう。 当院でも10年以上経過観察されている方もおられます。

2. 大きな転移性脳腫瘍 - 2分割ガンマナイフ治療例 -

予防的全脳照射から7ヶ月後に脳転移出現し、ガンマナイフ照射(GKとします)GK(1)を行いました。
1年3ヶ月後に増大し、画像所見と経過から再発と判断しました。
2分割のガンマナイフ(GK(2)から3週間後にGK(3))を行い、治療後2ヶ月で消失(4)しました。

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全脳照射後に出現した新規病変や照射後の再発病変であっても、 ガンマナイフの追加治療は可能です。ただし、全脳照射前からのMRI画像の変化や治療内容、症状経過をふまえて最終決定します。 全脳後は、2分割のガンマナイフを行うことも多いです。
直径が3cmを超える様な大きな腫瘍は基本的にガンマナイフ適応外ですが、 2分割のガンマナイフ治療で対応しています。 高島病院では、大きな腫瘍に対し71人の方が分割照射を受けられました。 2分割で照射を行うことにより有効性を高め、副作用を抑えることができます。 1回目のガンマナイフ後、3週間の間を開けてから2回目を行います。 脳の状態や腫瘍の種類によっては、摘出手術をおすすめすることもあります。

3. 聴神経鞘腫

聴神経鞘腫に対してガンマナイフ(1)を行いました。 4年後(2)、腫瘍がまだ腫大している状態です。 8年後(3)、18年後(4)とゆっくりと縮小しています。

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聴神経鞘腫では、照射後に膨大することが多くあります。 腫瘍が少し腫れるのであって、腫瘍細胞が増殖しているのではありません。 数ヶ月後から始まり2年程度続いて、その後少しずつ縮小してくることが多いのですが、 この方のように4年以上続く場合もあります。 投薬なしで自然に縮小してきますので、じっくりと経過をみましょう。

4. 脳動静脈奇形

脳動静脈奇形に対してガンマナイフ(1)を行いました。 2年半後(2)には消失し、治癒しました。

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5. 特発性三叉神経痛

矢印で示した棒状の構造物(1)が三叉神経です。 ある特定の部位(2)にピンポイントで照射します。 20分前後の照射で治療終了です。

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ガンマナイフ治療入院についてのご案内

1.受付・入院手続き

来院されましたら、病院受付でお知らせください。担当係がご案内いたします。

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ガンマナイフ治療 専用病室

個室でバス、トイレ、電話、ソファーベッド付きです。
但し満室の場合、一般病室になる事もあります。

※なお、付き添いの方一人は同室のソファーベッドにて宿泊できます。 但し、付き添いの方の食事は用意できません。 ( 近くの飲食店、コンビニ等のご案内紙は用意しています。)

※また、体のご不自由な患者様は救急車にて送迎いたします。
お申し込みは、ご紹介頂いた先生を通してガンマナイフセンター岡本久代までご相談下さい。 専用運転手と看護師も付き添い致しますので、安心です。

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2.ご準備していただくもの

洗顔、洗髪用具 洗髪用シャンプー 、くしまたはヘアーブラシ、歯ブラシ、歯みがき、石けん、ひげそり、タオル
飲みものと、食事のとき
お使いになるもの
少し太めの先が曲がるストロー 、はし、 湯のみ 、スプーン
衣類・はきもの 下着類、スリッパ
筆記用具 メモ紙、ボールペン、 認印鑑 、マジックペン
その他の日用品 ティッシュペーパー、バスタオル

治療中は仰向けで横になっていただきます。 熱くも、痛くもありませんので出来るだけリラックスして受けていただくのが疲れも少ないようです。
お好きな音楽テープ、CDをお持ちいただければ治療中使わせていただきます。

3.入院中のご注意とお願い

  • 衛生管理上の面から、入院中は当院で用意した病衣をご使用いただきますようお願いします。
  • やむをえない事情のため、外出、外泊の必要が生じた時は必ず各階のナースステーションに許可を得てください。
  • 病院敷地内は禁煙です。
  • 他の患者様に迷惑のかかるような言動、飲酒、賭け事はご遠慮ください。
  • 盗難には各自が充分ご注意ください。病院には不特定の人が出入りしますので、多額の現金や貴重品などを持ち込まないようにお願いします。(責任を負いかねます)
  • その他、お気付きの点やお困りのことがございましたら詰所・事務室にご相談ください。

 

非常時

万一警報ベルが鳴った時は、あわてず院内放送および病院勤務者の指示に従ってください。

ガンマナイフセンターへの、ご相談または、受診の予約について

 治療担当医 岡本久代

1.電話にて

直通電話 0859-32-7000
受付時間 月~金曜日 9:00~16:30
土曜日 9:00~11:30

 患者様のおおまかな状況を教えていただきます。適応がありそうなら、患者様とご家族に画像持参の上、当院受診していただきます。 受診日については、その時に決めたいと思います。

 受診された際、ガンマナイフの適応があり、患者様とご家族の同意が得られれば、治療日の予約をします。

 なお、患者様の状態により、例えば麻痺などがあり、当院受診が困難な場合は、ご家族の方のみで結構です。 また、治療の際も送迎いたします。

2.E-Mailにて

メールアドレス h-okamoto@takashima-hp.or.jp

 患者様のおおまかな状況を教えていただきます。 メールにMRIやCT写真を添付いただきますと、より助かります。 適応がありそうなら、患者様とご家族に、当院受診していただきます。 受診日については、その時にメールにて返事いたします。

3.FAXにて

FAX番号 0859-23-3863
受付時間 月~金曜日 9:00~16:30
土曜日 9:00~11:30

 患者様のおおまかな状況を教えていただきます。 適応がありそうなら、患者様とご家族に画像持参の上、当院受診していただきます。 受信日については、その時に電話かFAXにて返事いたします。

また、最初の当院受診の場合も、前もって電話等でご相談いただけましたら、 ご都合の良い日時を、決めさせて頂きます。

お申し込み・お問合せ先

高島病院 ガンマナイフセンター(Takashima Gamma Knife Center)

直通電話 0859-32-7000
受付時間 月~金曜日 9:00~12:00
土曜日 9:00~17:00

ガンマナイフセンターについてのお問合せ

E-mail:h-okamoto@takashima-hp.or.jp

ガンマナイフ担当医

センター長(脳神経外科医長) 岡本 久代

〒683-0826 鳥取県米子市西町6番地

TEL 0859-32-7711(代表) FAX 0859-23-3863